2016年08月15日

欠陥住宅について(責任追及の方法@)

 前回は、「欠陥」の内容について簡単にご説明しましたので、この記事では、「欠陥」があると分かった場合に、住宅の購入者から誰に対してどのような責任追及が可能になるのかを記載したいと思います。

 但し、一口に欠陥住宅問題と言っても、いろいろなケースがあります。
 売買契約により住宅を取得した場合と請負契約により住宅を取得した場合、建築士による設計内容に問題がある場合と施工者の施工方法に問題がある場合、建築確認申請に対する許可自体に問題がある場合等々、契約の内容や当事者等の違いによって責任追及の方法も様々です。
 以下では、まず「売買契約」「請負契約」の2つに分類したうえで、それぞれの内容をご説明します。

1 売買契約の場合
 売買により住宅を取得した場合には、売主や仲介業者に対し、その責任を追及することになります。

(1) 売主に対する責任追及
 売主が負う責任の種類は、「瑕疵担保責任」「債務不履行責任」「不法行為責任」に分かれます。

 @ 瑕疵担保責任
 当該住宅に隠れた瑕疵(=通常人が容易に発見することができず、かつ、その買主が知らなかった瑕疵)があれば、買主は売主に対して、瑕疵担保責任(民法570条)に基づく損害賠償を請求でき、また、その瑕疵が、売買契約を締結した目的が達成できないような重大な瑕疵である場合には、瑕疵担保責任に基づく解除も認められます。

 ただし、瑕疵を知ったときから1年以内に買主から売主に対して請求をしなければならないという規定(民法570条、566条3項)があるので注意が必要です。

 なお、賠償請求ではなく、「瑕疵を補修せよ」という請求については、民法上規定がありませんが、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の制定により、平成12年4月1日以降に契約した新築住宅の買主には、構造耐力上主要な部分及び雨水の侵入を防止する部分に限り、売主に対する瑕疵補修請求権が認められました(品確法95条1項)。

 A 債務不履行責任・不法行為責任
 売主が、事前に瑕疵の存在を知り若しくは簡単に知ることができたにもかかわらず、これを隠したりあえて説明しなかったような場合には、売主の説明義務違反による債務不履行責任(民法415条)や不法行為責任(民法709条)の追及ができる場合があります。

(2) 仲介業者に対する責任追及
 宅地建物取引業者である仲介業者は、買主に対して、重要事項説明義務(宅地建物取引業法35条)を負っています。
 したがって、仲介業者を通じて購入した物件に瑕疵があったような場合であって、仲介業者が重要事項について十分な説明を行っていないというケースや、調査をすれば容易に瑕疵が発見できたにも拘わらず調査をしていないケース等においては、買主がその仲介業者との間で仲介契約を締結していれば債務不履行責任(民法415条)を、そうでない場合においても、不法行為責任(民法709条)を追及できる場合があります。
    
(3) 設計者や施工者、工事監理者等に対する責任追及
 買主と建物の設計者や施工業者、工事監理者(工事監理とは、工事を設計図書と照合し、それが設計図書通りに実施されているか否かを確認する作業です)との間に直接の契約関係が無い場合でも、施工業者に対して不法行為責任(民法709条)を追及できる場合があります。
 
 最高裁平成19年7月6日判決は、「建物の建築に携わる設計者,施工者及び工事監理者(以下,併せて「設計・施工者等」という。)は,建物の建築に当たり,契約関係にない居住者等に対する関係でも,当該建物に建物としての基本的な安全性が欠けることがないよう配慮すべき注意義務を負う」「設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり,それにより居住者等の生命,身体又は財産が侵害された場合には,設計・施工者等は……特段の事情がない限り,これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負う」と判示しました。

 そして、ここでいう「基本的安全性」について、最高裁平成23年7月21日判決は「居住者等の生命,身体又は財産に対する現実的な危険性を生じさせるものに限らず,瑕疵の性質に鑑み,放置するといずれはこのような危険が現実化する場合にも,「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」に当たる」と判示しました。
    
 上記のほか、部材供給者に対する製造物責任法に基づく賠償請求や、建築確認処分に違法があった場合の国家賠償請求が認められる場合があります。

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欠陥住宅について(欠陥とは)

 家を購入して住み始めたら、施工不良で壁に亀裂が発生した、雨漏りが発生した、地盤が傾いたなど、住宅を巡るトラブルは後を絶ちません。大きな買い物として慎重に検討したつもりでも、その専門性ゆえに、購入者の視点からは容易に判別できない要素も存在します。

 このカテゴリでは、いわゆる欠陥住宅問題について、@「欠陥」とは何か、A欠陥があった場合には誰にどのような請求ができるのか、Bその期間はいつまでか、を順を追ってご説明致します。

(1) 欠陥とは何か
 欠陥住宅問題における「欠陥」とは、法律上は「瑕疵(民法570条、634条)」と言われます。
 この「瑕疵」は、建築基準法違反など、明らかに法律に違反している場合に認められることはもちろんですが、このような法律に違反していなくても、施工内容が約束とは異なっていて、その約束が特に契約の重要な内容となっていたと認められるような場合にも「瑕疵」に当たると考えられています(最高裁平成15年10月10日判決)。
 そのため、瑕疵があるかどうかを判断する際には、法令違反の有無、事前の約束の有無や内容、その約束の存在を裏付ける証拠の有無などを慎重に検討しながら、場合によっては建築士などの専門家とも協同して判断をしていくことになります。

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2016年07月27日

交通事故の損害(慰謝料)

 先程の記事では、人的損害(怪我などにより発生した損害)のうち、積極損害・消極損害という財産的な被害について記載しました。
 しかし、交通事故によって入院・通院の負担を強いられたり、後遺障害が発生したりした場合には、それ以外にも精神的な損害に対する賠償請求、すなわち慰謝料の請求が可能な場合がありますので、以下ご説明します。

@ 傷害慰謝料(入通院慰謝料)
  事故により入院・通院を余儀なくされた場合、被害者には、心身に相当の苦痛が発生します。傷害慰謝料は、このような苦痛に対する補償として、入院や通院をした日数や負傷の程度等に応じて認められるものです。
   
A 死亡慰謝料
  事故により被害者が亡くなった場合、被害者には、死亡という重大な不利益が発生しています。死亡慰謝料は、このような苦痛に対する補償として、被害者(相続人)に対して認められるものです。
  死亡慰謝料は、亡くなられた方が家庭内でどのような立場にあったかによって異なりますが、実務上は、以下の金額が目安とされています(「交通事故損害額算定基準」(通称:青本))。
  被害者が一家の支柱の場合:2700万円〜3100万円
  一家の支柱に準じる場合(※1):2400万円〜2700万円   
  その他の場合:2000万円〜2400万円

(※1) 家事の中心をなす主婦、養育を必要とする子を持つ母親、高齢の両親に仕送りをしている方など

  なお、上記は、被害者の遺族となる近親者全体で支払いを受けられる金額であり、一人あたりが受領する金額ではありませんので、念のためご注意ください。

B 後遺障害慰謝料
  事故により後遺障害が残ってしまった場合、被害者には、「事故前のように身体が動かない」「仕事の内容が制限される」などの不利益が発生します。後遺障害慰謝料は、このような苦痛に対する補償として、被害者が負った後遺障害の等級に応じて認められるものです。
  以下の表では、参考として「交通事故損害額算定基準」(通称:青本)の基準をご紹介していますが、後遺障害の有無や等級は、症状固定後に損害保険料率算出機構の認定を受けるまで確定しません。そのため、事前に確実な判断をすることは困難ですので、予めご留意ください。それぞれ等級における代表的な症状などのご質問は、ご相談時に詳しくご説明しております。

(表)     
  1級 2700万円〜3100万円
  2級 2300万円〜2700万円
  3級 1800万円〜2200万円
  4級 1500万円〜1800万円
  5級 1300万円〜1500万円
  6級 1100万円〜1300万円
  7級 900万円〜1100万円
  8級 750万円〜870万円
  9級 600万円〜700万円
  10級 480万円〜570万円
  11級 360万円〜430万円
  12級 250万円〜300万円
  13級 160万円〜190万円
  14級 90万円〜120万円

(※2) 以上でご紹介した金額はあくまでも目安の金額であり、事故状況や被害内容等に応じて、金額が増減する場合があります。

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