2016年08月15日

欠陥住宅について(責任追及の方法A)

 前回では、売買契約について触れましたので、この記事では、請負契約により住宅を取得した場合についてご説明します。

1 請負契約について
 請負契約により住宅を取得した場合には、施工者や設計者、工事監理者に対し、その責任を追及することになります。

(1) 施工者に対する責任追及
 施工者が負う責任の種類は、「瑕疵担保責任」「債務不履行責任」「不法行為責任」に分かれます。

 @ 瑕疵担保責任と債務不履行責任の関係
 施工者(請負人)の契約責任については、建物完成前は債務不履行責任(民法415条等)、建物完成後は瑕疵担保責任(民法634条)を負うとされています。

 建物完成の時期については、「請負工事が当初予定されていた最終の工程まで一応終了し、建築された建物が社会通念上建物として完成しているかどうか、主要構造部分が約定どおり施工されているかどうか」等を基準として判断されます(東京地裁平成3年6月14日判決)。

 ただし、最終工程まで終了していても、重大な構造欠陥があるような場合には、建物が完成していないと評価することになります。

 A 瑕疵担保責任
 建物に瑕疵があれば、施工者に対し、瑕疵担保責任(民法634条)に基づく瑕疵修補請求(修理)や損害賠償請求ができます。

 なお、民法635条は、請負契約においても契約の目的が達成できないときには解除ができると規定されているものの、同条但し書きにおいて「建物その他の土地の工作物については、この限りでない」とされていることから、建物完成後の解除は認められないというのがこれまでの考え方でした。

 しかし、最近の裁判例においては、建物完成後でも重大な瑕疵により契約の目的が達成できない場合には、契約の解除が認められるようになってきています。

 B 債務不履行責任
  建物完成前において、施工者の責に帰すべき事由により損害を被った場合には債務不履行責任に基づく損害賠償請求や契約解除が可能です(民法412条、415条、541条、543条)。

 C 不法行為責任
 前回の記事で触れた最高裁平成19年7月6日判決は、「建物の建築に携わる設計者,施工者及び工事監理者は,建物の建築に当たり,契約関係にない居住者等に対する関係でも,当該建物に建物としての基本的な安全性が欠けることがないよう配慮すべき注意義務を負う」と判示していることから、契約関係にある者との間でも当然に不法行為責任(民法709条)を負う場合があると考えられます。
 
 この不法行為責任と瑕疵担保責任は、請求権競合の関係にあるとされています(福岡地裁平成11年10月20日判決)。

(2) 設計者、工事監理者に対する責任追及
 設計者、工事監理者が負う責任の種類は、「債務不履行責任」「不法行為責任」に分かれます。
 
 建築士法においては、「建築士は、設計を行う場合においては、設計に係る建築物が法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない」とされています(建築士法18条1項)。

 また、工事監理とは、上記のとおり、「工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること」(建築士法2条7項)ですが、建築士がこの工事監理を行うに際しては、「工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、当該工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告する義務を負」います(建築士法18条3項)。
 
 したがって、注文主としては、設計者や工事監理者が上記の義務に違反して損害を受けたときには、設計者や工事監理者に対して債務不履行責任(民法415条等)もしくは不法行為責任(民法709条)を追及することができます。

 なお、部材供給者に対する製造物責任法に基づく賠償請求や、建築確認処分に違法があった場合の国家賠償請求が認められる場合があることも、前記の売買契約の場合と同様です。

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posted by 仙台あさひ法律事務所 at 16:29| 欠陥住宅問題