2014年10月10日

東日本大震災による液状化被害に関する裁判例

東日本大震災による土地の液状化で自宅が被害を受けた千葉県浦安市の住民36人が、宅地を開発・分譲した不動産会社等に計約8億4250万円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が、本年10月8日、東京地裁で行われました。
東京地裁は「東日本大震災のような地震が起きて液状化が発生すると予測するのは困難だった」として、住民らの請求を退けました。
今回の裁判では、被告である不動産会社等の注意義務違反の有無が問題となっていましたが、その前提として、被告において、東日本大震災のような震災により本件液状化被害が発生し、原告らの住宅に被害が発生することを予見できたかどうか、という点が争われていました。
この点に関して、原告らは、1964年の新潟地震以降、埋め立て地の液状化は広く知られていたことなどを根拠に「液状化は予見でき、対策をする義務があったのに怠った」と主張していましたが、東京地裁では、被告は、専門家の見解を踏まえて、当時の(木造低層住宅に関する)知見としては一般的ではなかったベタ基礎を採用し、その後東日本大震災までの間は、液状化被害が生じていないこと、東日本大震災における地震は、振動時間が長時間の地震であり、そのような振動時間が液状化に大きく影響することは、本件地震後に研究が進んできたものであったことなどを指摘し、当時の被告には、本件のような地震によって液状化被害が生じると予見することは困難であったとして、被告に対する請求を棄却しました。
しかし、上記事案では、近隣地域では地盤改良を実施している事実が明らかとなっており、そうである以上、当時の知見を前提としてもベタ基礎のみで十分な対策といえるのか疑問がありますし、加えて、東日本大震災における千葉県浦安市の震度は震度5強であり、そのレベルの地震に関して予測困難と言い切ってよいのか、それを根拠付けるだけの十分な検討がなされていたのか、等を考慮しても疑義が生じると言わざるを得ません。
報道によれば本件原告の一部は控訴予定とのことであり、上訴審の審理・判断の内容も注目されます。
posted by 仙台あさひ法律事務所 at 00:00| Comment(0) | 判例紹介