2014年09月25日

固定資産税の課税処分に関する最高裁判例

 平成26年9月25日、最高裁第1小法廷は、12月に新築した自宅を固定資産税の課税日の翌1月1日時点で登記していなかった埼玉県坂戸市の女性が、その年の固定資産税を課されたのは不当だとして課税取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、「所有者が課税日時点で登記をしていなくても、課税処分が決まるまでに課税日時点の所有者として登記されていれば納税義務を負う」と指摘し、「課税は適法」との判断を示しました。

 今回の事案における上記女性は、平成21年12月に自宅を新築し、所有権を取得したものの、すぐに登記しなかったため、課税日の平成22年1月1日時点においては未登記の状態で、課税台帳にも登録されていませんでした。
 そして、その後の平成22年10月になって登記をしたところ、平成22年12月に、市が平成22年度の固定資産税を課税したため、取り消しを求めて提訴したものです。

 これに対して一審(さいたま地裁)は「現に所有している人が納税義務を負う」として請求を退けたものの、控訴審(東京高裁)は「登記がない以上、女性に納税義務はない」として課税を違法と判断していたため、最高裁判決が注目されていました。

 今回の裁判における主な争点は、地方税法343条1項が、納税義務者を固定資産の所有者とすることを基本としている一方で、ここでいう「所有者」とは,当該家屋について登記簿又は家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいうとされていることとの関係上、登記をしていない所有権者に対して課税をしてよいのか否かが争われていました。

 この点に関して、上記最高裁判決は、「(地方税)法が、固定資産税の納税義務の帰属につき,固定資産の所有という概念を基礎とした上で(343条1項),これを確定するための課税技術上の規律として,登記簿又は補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者が固定資産税の納税義務を負うものと定める(同条2項前段)一方で,その登記又は登録がされるべき時期につき特に定めを置いていないことからすれば,その登記又は登録は,賦課期日の時点において具備されていることを要するものではないと解される」として、登記されていなくても所有者であれば課税処分をしてよいとの判断を示したものです。

 最高裁判決では、上記のとおり、地方税法に関する法律解釈により結論を導いていますが、これまでの固定資産税の課税実務上も、上記最高裁判決同様の扱いがなされてきていたため、今回の最高裁判決は、そのような実務上の取扱いを正面から認めたという点でも、重要な意義を有する判断であったといえます。

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2014年09月06日

犯罪被害者支援全国経験交流集会@広島

 平成26年9月5日(金)13時30時より、広島市東区民文化センターにおいて開催された、第16回犯罪被害者支援全国経験交流集会に参加してきました。
 同集会においては、主に性犯罪被害に関する刑事裁判の事実認定の問題について講演やパネルディスカッションが行われ、性暴力被害事件の特徴として、被害の実体について理解が深まっていない(性暴力によるPTSDの発症率が高いことを知らない、ポルノのイメージに支配されている等)といった問題があること、性犯罪における立証の課題として、被害者からの事情聴取においては、二次被害を与える可能性もあるため詳細な事実確認をしにくい側面があること等が紹介されました。
 また、精神科の医師からは、被害にあった場合の心身反応として「ストレス反応」と「トラウマ反応」があること、ストレス反応にも、段階ごとに「ショック相」と「抗ショック相」があり、「ショック相」は被害後数分から1日程度の間に現れるもので、ショックに適応できない状態であるのに対し、「抗ショック相」は、その後ショックへの生体防衛反応が高度に整う段階であることなど、犯罪被害者の心理状態等について、医学的見地からの説明がなされ、大変興味深い内容でした。
 なお、終了後の懇親会において、私が研修中にお世話になった恩師と再会し、お話をする機会に恵まれました。当時の懐かしい思い出話や、恩師の近況についてお話いただき、また、被害者支援における心構えなどについても改めてご教示いただき、最後まで有意義な交流集会となりました。

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